T様宅は過去に御商売をやっていた関係上、道路前面に対して端から端までが入口となっていて、明らかな壁量不足となっています。
それに付け加え、昭和54年以前の旧建築基準なので、基礎の強度が足りておらず建物の両サイドにかなりの自重がかかって沈み込んでいるのが一目両全です。
建物は重さの芯、重心、強さの芯、剛心を割り出し、その偏心が少ないほど粘り強い建物が出来上がります。
これは人間でいうところの体幹と一緒で、相撲で例えると力が強いだけではダメで、付け加えて柔軟性などのバランスが優れていないとなかなか強い力士にはなれないのと一緒なんですね。
耐震診断は真っ正直にやってしまうと耐震工事に莫大な費用がかかってしまうことがよくあります。
公共建築ならそれはそれでわかりますが、T様宅はご高齢者の一人暮らし。
「私が生きているうちだけでいいから安心して住んでいたい。
でも、お金はそんなにかけられない」
というご要望に応えるべく、T様宅の耐震での一番の急所を見出し、壁量のバランスと強度を保たせる改修工事にしました。
予算の都合もあるので全て完璧にするというのはなかなか難しかもしれません。
しかし要所、そこを補う工事方法を見つけだせば、耐震工事もそれほど費用も掛からないのかもしれません。
↑新設基礎工事
↑耐力壁工事
↑外壁を貼り、コンクリートを流して仕上がりです。
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